タイにおける高速鉄道

<日経> 2015年5月22日 『タイ、高速鉄道で新幹線方式を採用 来週合意へ』

タイが自国内で計画している高速鉄道に日本の新幹線方式を採用する見通しになった。27日に両国の運輸担当大臣が東京で会談し合意文書を交わす。総工費約4300億バーツ(約1兆5千億円)ともされる建設資金の調達など課題は残るが、新幹線の輸出が実現すれば台湾に次ぐ事例となる見通し。日本はインドにも新幹線の輸出を目指しており、官民で取り組むインフラ輸出に弾みがつきそうだ。

タイが日本の新幹線導入を決めたのは、意外でしたが良い報せです。
記事では触れられていませんが安倍総理の功績でしょう。



ご存知の通りタイは暑い国ですから、線路の伸縮率も日本とは異なるでしょうけれど、
日本が輸出をするのですから、基礎物理に基づいて計算済みでしょう。
なんの心配もなさそうですね。



新幹線は車両性能だけでなく、時刻表通り正確に新幹線を走らせる
運用ノウハウが緻密なため、他所の国ではなかなか真似できません。
他にも、安全に走らせるため日々のメンテナンスは欠かせません。



タイの人は良くも悪くもおおらかですから、新幹線を活かしきれるかどうかは未知数でしょう。
そもそも、分単位の正確な運行を求められているのか疑問です。
日本人が列車の遅れに厳しすぎるとも言えますけれども。



ところで、日本の新幹線導入とは別路線で、中国の高速鉄道の導入を決めています。
中国の、と言っても、新幹線のパクリですけれども・・・。<産経> 2015年1月20日 『タイ高速鉄道建設を中国に取られメンツ丸つぶれの日本』

先月、バンコクで開かれたタイ・中国首脳会談でタイ政府は中国と南北縦断鉄道の建設計画で合意した。計画はラオス国境のノンカイからバンコクの南東でタイ湾に面するマプタプット港までをつなぐ路線(734キロ)を中国企業の手で建設するものだ。

ひとつの国で、複数の高速鉄道を導入するのは初めての試みではなかろうか。
運行前の建設技術から、実際に運行が始まってからの信頼性に至るまで、
全て比較されることになりますね。



運行実績では、比較にならないくらい日本が圧倒していますが、
タイでも圧倒できるかというと、そう簡単にはいかないでしょう。



日本製は、安全であるがゆえ、車両価格からメンテナンス費用に至るまで、
どうしてもコストが高くつきます。一方の中国版は新幹線の劣化コピーですから、
車両は安いでしょうし、メンテナンスも適当でしょう。



そうしますと、どうしても運賃に反映されてしまいますから、
トータルでどちらが受け入れられるか、という事になりそうです。



タイでの高速鉄道事例を、導入を考えている他の国も注目しているでしょうから、
今後の高速鉄道輸出に影響してきます。日本、中国ともに手を抜けません。
タイはなかなかに、したたかで上手い戦略をとりましたな。